サポニンは、植物の根、葉、茎などに広く含まれている配糖体の一種で、コレステロールを除去したり、体内で血栓をつくり動脈硬化の原因となる過酸化脂質の生成を抑制する効果があります。高麗人参や中国雲南省などで採れる田七人参に含まれるサポニンには様々な健康効果が期待されています。

高麗人参のサポニンと田七人参のサポニンの違い

高麗人参や田七人参に含まれる人参サポニンはジンセノサイドと呼ばれています。
ジンセノサイドは含まれるアグリコン(配糖体の非配糖部)のタイプによって4つに分けられます。
さらに、各分類群は成分組成の違いにより、プロトパナキサジオール(protopanaxadiol)系、プロトパナキサトリオール(protopanaxatriol)系、オコチロール(ocotillol)系サポニンを主成分とするダマラン(dammarane)系サポニンと、オレアノール酸(oleanolic acid)系サポニンを主成分とするグループに大きく分けられます。
高麗人参のサポニンは約30種類のサポニンが含まれていて、ダンマラン系サポニンとオレアノール酸系サポニンを含んでいます。
ただし高麗人参であればすべての種類のサポニンが含まれているわけではなく、土から掘り出した生の高麗人参よりも加工される過程でサポニンの種類や含有量が多くなります。
最も多くのサポニンの種類が含まれるものは紅参と呼ばれ、紅参の加工法は掘り出した良質の高麗人参を蒸して乾燥する過程で多くのサポニンが形成されます。
このため高麗人参の加工法によって有効成分のサポニンの種類や含有量が大きく変わってきます。最近では高麗人参の紅参と呼ばれる状態にしたものがサプリメントの原料として最良といえます。
田七人参に含まれるサポニンはダンマラン系サポニンのジンセノサイドRb1、ジンセノサイドRd、ジンセノサイドRg1を多く含んでいます。
各ジンセノサイドの薬理効果の詳細は下記の表を参照してください。

サポニンには様々な種類がある

サポニンは、含まれている動植物によっては毒物となる成分です。サポニンの定義は「サポゲニンと糖から構成される配糖体の総称」で、構造の類似したものもサポニンとして分類されます。つまり、「サポニン」と呼ばれているものがすべて同じ成分、効能、毒性にはなりません。
ここからは、他の動植物に含まれるサポニンと区別するため高麗人参や田七人参に含まれるサポニンを人参サポニンとしましょう。
これらのことを踏まえて考えてみる場合サプリメントに含まれる人参サポニンの量が多い少ないは健康効果には意味がないことを知っておくべきです。例えば高麗人参と田七人参を同じ重量で比較した場合、人参サポニン含有量は高麗人参より田七人参の方が約3倍の量を含んでいるそうです。
ですが6年根の紅参(高麗人参)には30種以上もの人参サポニンが含まれており、これらが紅参(高麗人参)の重要な成分になっています。高麗人参と同じウコギ科である西洋人参は14種類、田七人参は15種類と比べても2倍以上含まれており、この人参サポニンの種類と組み合わせのバランスの違いから様々な健康効果や効能が違ってくるのです。人参サポニンは総量よりも質と組み合わせの種類のバランスに注目することが重要です。
以下は人参サポニンの分類と薬理効果をまとめた表です。
各ジンセノサイドは高麗人参の紅参に含まれている主なジンセノサイドで、地色がのものは田七人参に含まれているジンセノサイドです。

サポニン分類 ジンセノサイド名 薬理作用
ダンマラン系配糖体 パナキサジオール系 ジンセノサイドRb1 中枢神経抑制作用、催眠作用、鎮痛作用、精神安静作用、解熱作用、血清蛋白質合成促進作用、中性作用脂肪分解抑制及び合成促進(インシュリン類似)作用、コレステロール生合成促進作用、プラスミン活性化作用、RNA合成促進作用、副腎皮質ホルモン分泌促進作用
ジンセノサイドRc 中枢神経抑制作用、RNA合成促進作用、血清蛋白質合成促進作用、プラスミン活性化作用、副腎皮質刺激ホルモン分泌作用
ジンセノサイドRb2 中枢神経抑制作用、DNA・RNA合成促進作用、プラスミン活性化作用、副腎皮質刺激ホルモン分泌促進作用、抗糖尿作用
ジンセノサイドRb3 神経細胞保護作用、心臓機能障害改善作用
ジンセノサイドRd 副腎皮質ホルモン分泌促進作用
20S-ジンセノサイドRg3 抗細胞転移抑制作用
ジンセノサイドRk1 抗癌、抗糖尿、認知機能改善(アルツハイマー病、痴呆など)
脂肪代謝促進作用、脂質過酸化抑制作用、中性脂肪減少作用、糖尿合併改善効果、抗血栓効果、腎臓癌、結腸癌、前立腺癌細胞に対する細胞毒性効果
ジンセノサイドRg5
ジンセノサイドRh2 抗細胞増殖抑制作用、抗腫瘍作用
ジンセノサイドM1 肝臓機能保護作用、抗炎症作用、糖尿病抑制作用、抗アレルギー作用、腫瘍増殖抑制作用
プロトパナキサジオール 記憶障害回復作用、神経回路網再構築作用、抗癌活性作用
パナキサトリオール系 ジンセノサイドRe 中枢神経興奮作用、DNA・RNA合成促進作用、プラスミン活性化作用、副腎皮質刺激ホルモン分泌促進作用
ジンセノサイドRg1 中枢神経興奮作用、抗疲労作用、疲労回復作用、記憶学習機能改善作用、DNA・RNA合成促進作用、プラスミン活性化作用
ジンセノサイドRf 脳神経細胞と関連した鎮痛作用
20S-ジンセノサイドRg2 血小板凝集抑制作用、プラスミン活性化作用
ジンセノサイドRh1 抗癌活性作用、抗アレルギー作用、抗炎症作用
ジンセノサイドRk3 抗癌、抗糖尿、認知機能改善(アルツハイマー病、痴呆など)
脂肪代謝促進作用、脂質過酸化抑制作用、中性脂肪減少作用、糖尿合併改善効果、抗血栓効果、腎臓癌、結腸癌、前立腺癌細胞に対する細胞毒性効果
ジンセノサイドRh4
ジンセノサイドRf1
プロトパナキサトリオール ストレス緩和作用、抗癌活性作用、抗炎症作用
オレアノール系 ジンセノサイドRo 抗炎症作用、解毒作用、抗トロンビン作用、血小板抑制作用、抗肝炎作用、大食細胞活性作用

サポニンの毒性

サポニンの毒性として指摘されているのは、「溶血作用」です。サポニンには界面活性作用が含まれており、その作用によって細胞膜を破壊し、赤血球を壊してしまう作用があります。これを溶血作用といいます。
サポニンはコレステロール値を下げてバランスを整えてくれる作用もありますが、悪玉コレステロールだけでなく善玉コレステロールも分解してしまうという作用もあります。人間の体に都合よく善玉コレステロールだけをのこして作用するものではないことを知っておきましょう。
また、高麗人参や田七人参に含まれる人参サポニンには毒性はないことも合わせて知っておいた方がいいですね。